小腸潰瘍とは?
小腸潰瘍とは、小腸の粘膜に傷ができて深くえぐれた状態を指します。
胃や十二指腸の潰瘍に比べて発生頻度は低いものの、出血や腹痛、貧血の原因となることがあり、注意が必要な病気です。
特に、上部・下部内視鏡検査で異常が見つからないのに出血や貧血がある場合、小腸の潰瘍が隠れている可能性があります。
小腸潰瘍の主な原因
小腸潰瘍は以下のような原因で起こります:
- 薬剤性(特にNSAIDs:痛み止め)
- 感染症(結核、サイトメガロウイルスなど)
- クローン病などの炎症性腸疾患
- 悪性腫瘍(リンパ腫、腺がんなど)
- 虚血(腸の血流障害)
- 放射線治療後の障害
- 原因不明(特発性潰瘍)
小腸潰瘍の症状
小腸潰瘍は、以下のような症状を引き起こすことがあります:
- 腹痛(特におへそ周りや下腹部)
- 黒色便(タール便)や血便
- 鉄欠乏性貧血(ふらつき、動悸、疲労感)
- 吐き気・食欲低下
- 体重減少
- 発熱(感染性や炎症性の場合)
診断方法と当院での対応
当院では、上部(胃・十二指腸)および下部(大腸)までの内視鏡検査(胃カメラ・大腸カメラ)を実施しております。
まずは、これらの検査を通じて出血や潰瘍の原因を明らかにします。
検査の流れ:
- 胃カメラ(上部内視鏡)で胃・十二指腸の潰瘍や出血の有無を確認
- 大腸カメラ(下部内視鏡)で大腸からの出血がないかを確認
- 両方に異常がない場合、小腸からの出血や潰瘍を疑い、専門機関への紹介を行います
小腸の精密検査について
小腸潰瘍の確定診断には、以下のような検査が必要になることがあります:
- カプセル内視鏡:カメラ内蔵カプセルを飲み込み、小腸全体を観察
- バルーン小腸内視鏡:専用の内視鏡で小腸を詳しく観察し、組織採取や治療も可能
- CTやMRI:炎症や腫瘍などの確認
※これらの検査は当院では行っておりませんが、必要に応じて専門医療機関へご紹介いたします。
治療について
潰瘍の原因によって治療は異なります:
- 薬剤性潰瘍:原因薬剤の中止、胃酸分泌抑制薬の投与
- 感染性潰瘍:抗菌薬や抗ウイルス薬による治療
- 炎症性腸疾患(例:クローン病):抗炎症薬や免疫調整薬などによる治療
- 出血がある場合:止血処置や輸血が必要になることもあります
当院からのご案内
「胃も大腸も異常がないのに出血や貧血が続く…」
そんなときには、小腸に原因がある可能性があります。
当院では、まず上部・下部内視鏡検査を丁寧に行い、必要に応じて適切な医療機関へのご紹介をいたします。
早期発見・早期対応が大切ですので、気になる症状があればお早めにご相談ください。