大腸憩室出血とは?
大腸憩室出血(だいちょうけいしつしゅっけつ)とは、大腸の壁にできた袋状のくぼみ(=憩室/けいしつ)から出血する病気です。
特に中高年以降に多く、大腸からの下血(血便)を起こす原因として最も多い疾患の一つです。
突然、鮮やかな赤い血便が大量に出ることがあり、驚いて受診される方も少なくありません。
なぜ出血するの?
憩室は、大腸の粘膜が外に向かってふくらんだ袋のような構造で、そこを通る血管が傷ついたり破れることによって出血します。
出血のきっかけとしては、
- 便秘による腸内圧の上昇
- 加齢による血管の脆弱化
- 抗血栓薬・抗凝固薬の使用
- 激しいいきみや腹圧の変化
などが関係していると考えられています。
主な症状
憩室出血では、次のような症状がみられます。
- 突然の血便(鮮やかな赤や暗赤色)
- 腹痛はないことが多い
- 貧血症状(めまい、ふらつき、動悸)
- 何度もトイレに行くが便は出ず、血だけが出ることも
出血量が多い場合は、命に関わることもあるため、早めの受診が大切です。
検査と診断
出血の原因を正確に特定するため、以下の検査を行います。
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)
出血部位を直接確認し、止血処置が可能です。
腹部CT検査(造影CT)
緊急時には出血部位の特定に有効です。
血液検査
貧血の程度、出血の影響を評価します。
※大量出血時には、検査前に輸液や輸血などの緊急対応が必要となることもあります。
治療方法
軽症の場合(自然止血が期待できる)
- 安静・点滴による経過観察
- 入院管理のうえで慎重にモニタリング
出血が持続している場合
- 内視鏡による止血処置(クリップや薬剤の注入など)
- カテーテル治療(IVR):止血が難しい場合に、血管内から処置を行う方法
- 外科的治療:まれに必要になることもあります(出血源が特定できない、繰り返す場合など)
再発のリスクと予防
憩室出血は、一度出血すると再発する可能性が高いことが知られています(約30〜40%ともいわれます)。
予防のためには、
- 便秘を予防する生活習慣(食物繊維・水分・運動)
- 過度ないきみを避ける
- 抗血栓薬の内服管理(医師と相談)
- 定期的な内視鏡検査での経過観察
当院の対応について
当院では、大腸内視鏡による精密検査および内視鏡的止血処置に対応しています。
出血がみられた場合や、再発予防のための検査・生活指導など、患者様一人ひとりに合わせたきめ細やかな診療を行っています。
「突然の血便が出た」「以前にも同じような症状があった」など、気になる症状があれば、ぜひご相談ください。