大腸憩室炎とは?
大腸憩室炎(だいちょうけいしつえん)とは、大腸の壁にできた小さな袋状のくぼみ(=憩室)が、細菌感染などで炎症を起こす病気です。
中高年に多く見られ、特に便秘傾向のある方や、高齢者に多く発症します。
軽症で済むこともありますが、重症化すると穿孔(穴が開く)、膿瘍(うみ)、腹膜炎などに進展する可能性があるため、適切な診断と治療が重要です。
原因とリスク因子
大腸憩室炎の主な原因は、憩室に便や細菌が入り込むことで炎症が起こると考えられています。
発症のリスクを高める要因には、
- 便秘(腸内圧が上がる)
- 加齢
- 食物繊維不足の食生活
- 肥満・喫煙・運動不足
- ストレスやいきみ
などが挙げられます。
主な症状
憩室炎では、以下のような症状が出ることがあります。
- 左下腹部の痛み(右側のことも)
- 発熱
- 便秘または下痢
- 腹部の張り
- 吐き気・食欲不振
軽症では軽い腹痛程度ですが、重症化すると強い痛みや高熱、嘔吐などを伴うことがあります。
診断方法
診断には、問診・診察に加え、以下の検査が行われます。
- 腹部CT検査:憩室の数や場所、炎症の程度、合併症の有無を確認(最も有効)
- 血液検査:炎症の程度(白血球・CRPなど)をチェック
- 大腸内視鏡検査(回復後):再発予防や他の疾患との鑑別のために行うことがあります(急性期には通常行いません)
治療方法
軽症の場合
- 抗菌薬の内服
- 食事制限(消化のよいもの~絶食)
- 安静・水分補給
中等症~重症の場合
- 入院治療
- 点滴による抗菌薬投与
- 絶食・腸管安静
- 膿瘍形成時にはドレナージ(うみの排出)や手術が必要なことも
早期に適切な治療を行うことで、多くは改善します。
再発予防と生活習慣の改善
大腸憩室炎は一度発症すると再発しやすい病気です。再発を防ぐために、以下のような対策が有効です。
- 食物繊維を多く含むバランスの取れた食事
- 便秘予防(こまめな水分補給・規則正しい排便)
- 適度な運動
- 喫煙・過度な飲酒の見直し
また、定期的な内視鏡検査で、憩室の状態を把握しておくことも大切です。
当院の対応について
当院では、憩室炎の診断から治療・再発予防の指導まで総合的に対応しています。
腹痛や発熱、便通異常などが続く場合は、早めの受診をおすすめします。
内視鏡検査に不安がある方には、鎮静剤を使用した負担の少ない検査も可能です。どうぞ安心してご相談ください。