小腸憩室症とは?
小腸憩室症とは、小腸の壁の一部が外側に袋状にふくらんだ「憩室(けいしつ)」ができる状態をいいます。
この袋そのものは無症状なことが多いのですが、まれに炎症を起こしたり、出血したりすることで症状が現れることがあります。
小腸は胃と大腸の間にある臓器で、憩室は特に空腸や回腸と呼ばれる部位に多く見られます。
小腸憩室症の原因
主に以下のような要因で発生すると考えられています:
- 加齢や腸管の弱化
- 腸内圧の上昇
- 腸の運動異常
- 結合組織の異常
胃や大腸と同様、小腸でも長年の負担が蓄積することで憩室ができやすくなります。
小腸憩室症の症状
- 原因不明の腹部膨満感や不快感
- 腹痛(とくに左側や下腹部)
- 下痢または便秘
- 消化管出血(黒っぽい便や貧血)
- 発熱・悪心(憩室炎を起こした場合)
大腸憩室症と似た症状を示すこともあり、大腸カメラでは異常がなく、原因不明とされていた腹部症状の背景に小腸憩室が隠れているケースもあります。
診断と検査
小腸憩室症は、通常の胃カメラ(上部内視鏡)や大腸カメラ(下部内視鏡)では観察が難しい部位にあります。
そのため、以下のような検査が必要になります:
- カプセル内視鏡
- 小腸造影検査
- CT検査/MRI
- バルーン小腸内視鏡
当院では小腸への直接的な内視鏡検査(カプセル・バルーン)は行っておりませんが、
上部・下部消化管内視鏡で他の原因が否定された場合や、症状の経過から小腸疾患が疑われる際には、専門医療機関へのご紹介も対応いたします。
小腸憩室症の治療
症状がなければ治療は不要です。
憩室炎や出血を起こした場合には以下の対応が取られます:
- 安静と抗生物質投与(憩室炎)
- 鉄剤や輸血、止血処置(出血時)
- まれに外科手術が必要になることも
当院でできること
当院では、上部内視鏡(胃カメラ)・下部内視鏡(大腸カメラ)による検査を通じて、小腸憩室が疑われる方の初期評価を行います。
胃・大腸に明らかな異常がなく、かつ症状が持続している場合は、小腸の精密検査が必要と考えられるため、連携医療機関をご紹介いたします。
「胃も大腸も異常なし。でも原因がわからない腹痛や貧血がある…」
そんなときは、小腸に原因がある可能性も。
当院ではまず上部・下部消化管の精密検査を行い、必要に応じて次のステップへ進むお手伝いをいたします。