便の色

便の色や形状、
排便の回数や
量でわかる体の変化

便は、身体の状態を知るバロメーターの1つです。
毎日自身の便を見る習慣がある人は少ないかもしれませんが、時々でいいので、チェックしてみてください。

便の色

健康な便は、一般に「黄褐色」とされています。「黄色っぽい茶色」と言うと伝わりやすいかもしれません。
色がそれよりも濃かったり薄かったり、あるいは全く別の色である場合には、食べた物や病気の影響が出ている可能性を考えます。

排便回数

排便の頻度は人によってさまざまですが、一般には1日1~2回とされています。ただ、2日に1回であっても痛みなどなく快適に排便できており、便の状態も良いのであれば、それほど心配する必要はありません。
反対に、1日3回以上の排便があるという場合には、多くの場合下痢を合併しており、注意が必要です。

便の形状

太さ3~4cmのバナナ状の便が理想とされています。それより太いということはあまりありませんが、細い状態が続くという場合には、大腸がんや大腸ポリープなどの疾患の可能性を考えます。
軟便や下痢、コロコロとしたウサギの糞のような便が続く、便が硬く排便が困難であるといった場合には、いずれも便の異常と捉える必要があります。

便のにおい

便には必ずにおいがありますが、食べた物、腸内環境、疾患などによってひどくにおうというケースが見られます。においが強くなる原因疾患としては、過敏性腸症候群、大腸がん、膵臓疾患などが挙げられます。

健康的な便とは

健康的な便とは、一般に「黄褐色のバナナ状もしくは半練り状で、においが少なく、するりと出るもの」と定義されています。

  • 黄褐色(茶色~黄土色)
  • バナナ状(直径3~4cm)
  • ブツブツと途切れない
  • 1日あたり1~3本が出る
  • 強くいきまなくてもするりと出てくる
  • 表面はつるんとしている
  • 3分以内に排便が終わる
  • においは少なめ

便の状態で気になることがある場合には、お気軽に当院にご相談ください。

便の色で確認できる
体調の変化

ここでは、便の「色」に着目し、なぜそのような色になるのかということを解説していきます。

黄褐色

黄褐色(おうかっしょく)は、便の理想的な色と言われています。茶色と黄土色の中間のような色、黄色っぽい茶色、といったようにも言い換えられます。
ただ、黄褐色であっても軟便や下痢である、一部に血液が混じっているといった場合には、何らかの異常・病気が疑われます。

黄色

ひどい下痢の場合は、便の色が薄まり黄色っぽくなります。下痢でない場合も、乳製品をたくさん摂った時、下剤を飲んだ時にも黄色い便が出ることがあります。

茶~茶褐色

暴飲暴食をした時によく見られる便の色です。食事を改善すれば、通常は元に戻ります。

濃褐色

かなり濃い茶色です。肉類、チョコレート・ココアの摂り過ぎなどが原因となります。

黒色

注意が必要なタイプです。濃褐色とは異なり、明らかな黒色が認められます。食道や胃・十二指腸などの上部消化管からの出血が疑われます。「タール便」とも呼ばれる通り、粘り気があることが多くなります。
ただし、イカ墨料理を食べたり、ビスマス錠や鉄剤を服用した時にも黒色の便が出ることがあります。

緑色

緑黄色野菜をたくさん摂った時に見られる便の色ですが、急性腸炎が原因になることもあります。
母乳を与えている赤ちゃんにも時々見られます。

赤色

注意が必要なタイプです。赤色が全体的または部分的に混じっている便です。大腸の病気や痔などが疑われます。
真っ赤なものもあれば、茶色がかった赤色になるものもあります。

灰白色

やや注意が必要なタイプです。バリウムを飲んだ後の灰白色の便であれば心配いりませんが、思い当たる原因がない場合には、肝障害、腸結核、膵臓疾患などの可能性を疑います。

病気の可能性が高い便の色

以下の3つは、特に注意が必要です。少しでも当てはまると感じた場合には、お早めに当院にご相談ください。

便が黒い(タール色)

食道・胃・十二指腸からの出血が疑われます。
逆流性食道炎、食道がん、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がん、十二指腸がんなどの疾患が考えらえます。

便が赤い(鮮血便)

大腸・肛門の出血が疑われます。
大腸がん、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)、虚血性腸炎、大腸憩室出血、いぼ痔、切れ痔などが考えられます。

便が白い(白~レモン色)

肝臓や胆管、膵臓などの異常を疑います。
肝炎、胆石症、胆のうがん、胆管がん、腸結核、膵臓疾患などが考えられます。

便の色がいつもと
違う方は当院へご相談を

便の色がいつもと違う方は当院へご相談を便の異常は、身体で何らかの異変が起きていることのサインです。特に便の色は、大腸がんなどの重大な疾患の早期発見につながりやすいため、時々、できれば毎日チェックするようにしてください。
また色だけでなく、軟便や下痢、便秘、便が細くなった、ひどくにおうといった異常についても、気づいたことがあればお早めに当院にご相談ください。当院では、丁寧な問診ののち、必要に応じて大腸カメラ検査を行うことができます。鎮静剤を用いた、苦痛のほとんどない内視鏡検査を提供しておりますので、安心してお越しいただければと思います。