便潜血陽性(+)

便潜血検査で
陽性(+)で心配な方へ

便潜血検査で陽性(+)で心配な方へ便潜血検査であったからといって、必ず大腸がんなどの重大な病気であるとは限りません。しかし、便潜血検査で陽性だった人のうち、約2%に大腸がんが見つかっています。また、潰瘍性大腸炎や大腸ポリープの発見につながるケースも少なくありません。
便潜血検査で陽性だった場合には、必ず精密検査として大腸カメラ検査を受けましょう。

便潜血検査で陰性でも
大腸がんの可能性も!?

便潜血検査で陰性でも大腸がんの可能性も!?便潜血検査は、大勢の中からリスクの高い人をふるいにかける「スクリーニング検査」です。そのため、陰性であったからといって、「大腸がんやその他の大腸の病気ではない」ということが言い切れません。
またそもそも、大腸がんや大腸ポリープ、過敏性腸症候群が必ず出血を伴うわけではありません。そのため、便潜血検査で陰性であった場合も、喫煙・飲酒、運動不足、大腸がんの家族歴などがあり大腸がんリスクが高い方、大腸がんリスクの高くなる40歳以上の方は、年に1回は大腸カメラ検査を受けることをおすすめします。

便潜血検査とは

会社の健康診断、自治体の大腸がん検診などで行われる「便潜血検査」では、便中の微量な血液も検出することができます。
陽性であった場合には、その量を問わず「血液が混じっていた」ということになります。

便血検査の
メリット・デメリット

便潜血検査は、健康診断や大腸がん検診など、対象が多数であり、高リスクの人を検出する場合に適しています。
そのメリット・デメリットを整理すると、以下のようになります。

メリット

  • 自宅で採取した便を提出するだけの簡単な検査である
  • 検査によるリスク、副作用がない
  • 短時間で終えられる
  • 大腸がんなどの重大な病気の早期発見につながる

デメリット

  • 陽性であった場合も疾患の診断には至らない
  • 陰性であった場合も疾患を完全に除外できるわけではない
  • 痔や生理に対しても陽性の結果が出る

陽性であるにもかかわらず、精密検査として大腸カメラ検査を受けていない人もいます。大腸がんなどの重大な病気を見落としてしまっているケースも少なからず存在するものと考えられます。

便潜血検査の流れ

1容器を受け取り、氏名、採取日を記入する

医療機関で容器を受け取り、氏名、採取日を記入します。
※2~3日以内の提出が推奨されています。2~3日以内に提出できるスケジュールをご確認の上、採取日を決めましょう。

2便を採取する

自宅のトイレで、付属のスティックで便を採取し、容器に入れます。
なおこの時、水に浸った便を採取してしまうと、正確な検査ができません。以下のような方法で、トイレの水が混じらないように便を採取してください。

  • 浅めに便座に腰かけて排便をすると、排水口に溜まった水に便が浸かりにくくなります。予めトイレットペーパーを敷き、滑り止めにするのも良いでしょう。
  • トイレットペーパーを持ち、肛門から出てきた便をそのままキャッチし、スティックで採取するという方法です。より確実な方法と言えます。

3涼しいところで保管し、提出する

容器は陽の当らない、涼しいところで保管してください。
採取して2~3日以内に提出します。

採取した便の保管方法

便採取後の容器は、陽の当らない涼しい場所で保管します。
実は冷蔵庫での保管が理想的ですが、抵抗のある方も多いかと思いますので、保冷剤を入れた蓋つきの発砲スチロール容器で保管することをおすすめします。保冷剤は、提出までに何度か交換してください。

便潜血陽性の場合の
考えられる主な疾患

便潜血検査で陽性反応が出た場合には、大腸がんをはじめとする以下のような疾患が疑われます。

大腸がん

食生活の欧米化、飲酒、喫煙、遺伝、肥満などがリスク因子となり発症するがんです。
初期は症状に乏しく、ある程度進行してから血便、腹痛、腹部膨満感、便秘・下痢、貧血などの症状が出始めます。

大腸ポリープ

大腸ポリープは、がん化の心配がほとんどないものと、がん化の可能性が高いものが存在します。また、大腸がんのほとんどは大腸ポリープががん化して発生します。ポリープだからと甘く見ず、大腸カメラ検査を受け、必要に応じて切除をしておくことが大切です。
ほぼ無症状ですが、大きくなると血便や腹痛、下痢などの症状を引き起こすことがあります。

潰瘍性大腸炎

免疫機構の異常によって免疫細胞が大腸の細胞を攻撃し、炎症を引き起こす病気です。クローン病とともに、厚生労働省より難病の指定を受けています。
腹痛や下痢、血便、粘血便、発熱、体重減少などの症状が見られます。

切れ痔やいぼ痔、痔ろうなどによって出血があれば、便潜血検査で陽性となります。

便潜血陽性が出たら、
大腸カメラ検査
(大腸内視鏡検査)を

便潜血検査で陽性であった場合には、その他の症状の有無、年齢などに関係なく、必ず精密検査として大腸カメラ検査を受けるようにしてください。
便潜血検査で陽性だった人のうち、もっともこわい大腸がんが発見される割合は約3%ですが、それ以外の疾患の可能性を含めて、便潜血の原因を確かめることが大切です。なお当院では、ほとんど苦痛のない鎮静剤を用いた大腸カメラ検査を行っています。がん化のおそれのある大腸ポリープをその場で切除することも可能ですので、安心してご相談いただければと思います。

便潜血検査・検査陽性のQ&A

便潜血検査を2回受けました。1回目は陽性でしたが、2回目は陰性です。それでも大腸カメラ検査を受ける必要はありますか?

大腸がんなどの大腸の病気があるからといって、常に出血があるわけではありません。2回目が陰性であっても、「治った」とは考えず、必ず大腸カメラ検査を受けてください。これは、3回目や4回目が陰性であった場合も同様です。

便潜血検査で陽性で、肛門に痛みがあったので肛門科を受診しました。そこで切れ痔の診断を受け、治療も終えたのですが、大腸カメラ検査は必要でしょうか?

はい、必要です。便潜血検査で検出した血液が、痔のみによるものだったとは限らないためです。たとえ痔がしっかり治ったとしても、大腸がんなどの大腸の病気の可能性がなくなったことにはなりません。

便潜血検査で陽性だったのですが、特に症状はありません。もう少し様子を見ようと思うのですが、どうでしょうか。

便潜血検査で陽性であったからといって、慌てて大腸カメラ検査を受ける必要はありません(早いに越したことはありませんが)。ただ、「無症状だから」というのは様子を見る理由になりません。初期の大腸がんは、ほとんど症状がないためです。今日や明日でなくても構いませんので、できるだけ早くご相談ください。

便潜血検査は、1回だけではなく2回受けた方がいい、と聞いのですが、本当でしょうか?

1回目が陰性だった場合には、2回目を受けることをおすすめします。大腸がんなどの大腸の病気が、必ずいつも出血しているとは限らないためです。1回目で陽性であった場合には、そのまま精密検査として大腸カメラ検査を受けてください。

目で見て分かるくらい便に血液が混じっています。ひとまずは便潜血検査を受けるべきでしょうか?

肉眼で見て血液が混じっている場合は、便潜血検査を受ける意味がありません。大腸カメラ検査を受けましょう。

生理中ですが、便潜血検査を受けられますか?

経血が付着し陽性になってしまうことがありますので、避けてください。
経血量によって異なりますが、おおよそ3日が経過していれば、正しい判定が得られると考えられます。