ピロリ菌の除菌治療について ~一次除菌・二次除菌とは?~
ヘリコバクター・ピロリ菌(H. pylori)は、胃の粘膜にすみついて、胃炎や胃・十二指腸潰瘍、さらには胃がんの原因になることがある細菌です。ピロリ菌が見つかった場合には、薬によって体から菌を追い出す「除菌治療」が行われます。
一次除菌について
ピロリ菌除菌は、2段階で行うのが一般的です。一次除菌では、次の3種類の薬を1日2回、7日間服用します:
- 胃酸を抑える薬(PPIまたはP-CAB)
- 抗生物質(アモキシシリン)
- 抗生物質(クラリスロマイシン)
この3剤を7日間きちんと飲みきることで、約80~90%の方がピロリ菌を除菌できます。
二次除菌について
一次除菌がうまくいかなかった場合は、抗生物質の種類を変えて再度7日間治療します:
- 胃酸を抑える薬(PPIまたはP-CAB)
- 抗生物質(アモキシシリン)
- 抗生物質(メトロニダゾール)※別のタイプに変更
二次除菌では、約90%以上の成功率が期待できます。
除菌治療のポイント
- 食後すぐに、1日2回、7日間連続で飲みきることがとても大切です
- 飲み忘れたり、途中でやめてしまうと効果が下がることがあります
- 治療中に下痢、軟便、味覚の違和感などの副作用が出ることがありますが、多くの場合は軽度です
- 副作用が強い場合は、自己判断で中止せず、医師にご相談ください
除菌判定検査について
除菌治療が終わったら、1ヶ月以上あけて「除菌判定検査」を行います。
- 尿素呼気試験(UBT)
- 便中抗原検査
※内視鏡検査では除菌成功の判断ができませんのでご注意ください。
除菌後の注意点
ピロリ菌を除菌しても、すでにダメージを受けた胃の粘膜はすぐには元に戻りません。
そのため、除菌後も年に1回程度、胃カメラでの定期検査をおすすめしています。
まとめ
- ピロリ菌が見つかったら、まずは一次除菌(薬を7日間)で菌を退治
- 成功しなければ二次除菌で再チャレンジ
- 最後に除菌できたかを検査して確認
除菌成功で、将来の胃がんリスクを大きく減らすことができます。
治療は保険診療で受けられますので、まずはお気軽にご相談ください。