吸収不良症候群/セリアック病とは?
私たちが食事からとった栄養素は、小腸で吸収されて体の中に取り込まれます。
「吸収不良症候群」とは、この小腸での吸収がうまくいかず、栄養不足を引き起こす状態の総称です。
その中でも代表的な病気のひとつが、セリアック病です。
セリアック病は、グルテン(小麦や大麦などに含まれるたんぱく質)に対する自己免疫反応によって小腸の粘膜が障害され、栄養吸収がうまくいかなくなる病気です。
セリアック病の主な症状
セリアック病を含む吸収不良症候群では、以下のような症状がみられることがあります:
- 慢性的な下痢、脂っこい便(脂肪便)
- 体重減少、栄養失調
- 貧血(特に鉄欠乏性貧血)
- 膨満感、腹痛、ガスがたまりやすい
- 皮膚症状(発疹、かゆみ)
- 骨粗鬆症、疲れやすさ、集中力低下
セリアック病は欧米で多く、日本では稀とされてきましたが、最近では国内でも少しずつ報告が増えています。
診断と検査について
吸収不良症候群やセリアック病を診断するには、以下のような検査が必要です:
- 血液検査:グルテンに対する抗体(抗tTG抗体など)の測定
- 上部消化管内視鏡(胃カメラ)+十二指腸生検:粘膜の萎縮や絨毛の障害を確認
- 栄養状態の評価(血清鉄、ビタミン、アルブミンなど)
当院では、上部内視鏡検査による十二指腸の観察および、生検(組織採取)に対応しています。
血液検査とあわせて、セリアック病の可能性があるかを初期段階で評価することが可能です。
セリアック病の治療
セリアック病と診断された場合の主な治療は、「グルテンフリー(GF)食」の継続です。
小麦、パン、パスタなどのグルテンを含む食品を避けることで、症状の改善が期待できます。
また、栄養不足を補うために、鉄・葉酸・ビタミンDなどの補充治療が行われることもあります。
※グルテンフリー食の管理や高度な診断・フォローは、専門的な医療機関や栄養士と連携して行う必要があります。
当院でできること
当院では、
- 上部消化管内視鏡による十二指腸の評価
- 貧血や栄養不良の初期スクリーニング
- 必要に応じた専門医療機関への紹介
を通じて、吸収不良やセリアック病が疑われる患者さんの初期診療に対応しています。
このような症状がある方はご相談ください
- 健康診断で鉄欠乏性貧血を指摘された
- 便通異常(下痢やガス)や腹部の張りが長く続いている
- 原因不明の体重減少、慢性疲労がある
- グルテンに関連する症状が気になる
上記のような症状にお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
当院で行える検査を通じて、早期発見と専門医療へのつなぎをサポートいたします。